2018/03/11

カツ丼:600円



カツ丼:600円
@読売ジャイアンツ球場


今まで"カツ丼"といえば、カツが我が物顔で振舞う弱肉強食の世界、カツに対する依存が行き過ぎていた事は否めない。しかし、これからは弱肉強食でもない、依存でもない、カツと玉子による自立と共生をいかに上手くマッチさせるか? バランスをとるか?が叫ばれる筈である。 これは大きなテーマ、まさに愛のテーマだ。

しかし、そんな壮大なテーマに対し、このカツ丼はしっかりと答えを導き出してきた。

乙女の耳たぶのようなプリプリの食感が特徴の玉子は、卵アレルギーすら凌駕する別の物体へと昇華し、圧倒的な筈のカツの存在感すら消し去った。その強引な程の主張からは、存分にジャイアニズムを感じる事が出来る。また、カツ自体もそんな玉子にしっかりと寄り添い、カツが本来持つアイデンティティをかなぐり捨て無我の境地を切り開いている。

しかも、このカツ丼、今までに類を見ない新しい発想として着脱が可能となり、別皿さえ用意すればカツとじ定食としても楽しめる。凡人が発想すら抱かなかった偉業を実現した、近未来冒険活劇型カツ丼なのだ。

なのに、食べてみて最も強く感じるのは何か大切なものを失ったかのような虚無感…。そう、このカツ丼は存在そのものが宇宙。無限の闇が体全体を支配する。

こんな仕打ちを受けては、豚と卵を産んだ鶏も浮かばれない…。頼むから成仏してくれ。
南無大師遍照金剛…。